2012年04月09日

4月5日

海部観光 大谷寮
−仮設住宅試行−

の見学会+説明会を開いた。

参加者60数名。
県の方、美波町の方、上勝町の方、施工者、設計者、一般の方
取材の方々・・・。ファミリータイプのカーテンを閉めての説明会は、
入りきれない人もいた模様です。
たくさんのご来場ありがとうございました。

・・・説明会の為にパワーポイントを準備しました。

時系列でまとめていくなかで、このプロジェクト、
「フクシマトクシマの会」なくしてはもともと始まりもしなかったし、
成長もなかったものだったんだと再認識しました。


プロジェクトの経緯をあらためて・・・

2011年
 3月11日 東日本大震災

 4月25日 JIA建築家資格制度認定評議会
       宮城の大友さんに「何かできることはないですか?」と問うと
       「建築家ならまず見に来なさい」と、諭される。

 5月12日 JIA支部長会被災地視察(気仙沼〜南三陸町〜仙台市南部)参加

 5月13日 JIA東北支部総会、復興委員会に出席
       プレファブ協会だけでは間に合わない仮設住宅の公募にコンサルの
       黒子として設計協力をしているJIA福島地域会の辺見さんの報告を
       聞く。考えられない短期間での作業に没頭するフクシマの仲間たち。
       「一人二人死ぬかも知れないな」
       「今までにない充実感とやりがいを感じています」・・・
       聞いている我々が元気を頂く。
       同夜、福島地域会の懇親会に参加。より詳しい現状、皆さんの頑張り
       を聞く。連絡網に入れていただいてまず情報交換しましょうと約束。
       「フクシマトクシマの会」結成!

 5月17日 東日本大震災からの復興と東海東南海南海地震への備えのための情報
       交換の場として「フクシマトクシマの会」ブログ開設。

 5月27日 視察報告会開催@文化センター

 8月 5日 社員寮建設予定地初視察
       夜行バスドライバーを癒す単身者寮は上質な最小限住宅。
       この日当たりのよい高台で仮設住宅の試行をしませんかと提案
       その場で同意いただいて、プロジェクトスタート。

 8月12日 東日本大震災報告会@ともにプラザ
       JIA東北支部長、福島地域会長、JIA専務理事、関東甲信越
       北陸各支部の仲間、四国支部四県の仲間達が集まって、その後の
       東北、福島の状況を聞く。もはや黒子ではなく、木造仮設住宅、
       コミュニケーションを大切にした各地の仮設住宅の配置計画にも
       かかわっての活躍が報告される。懇親会、阿波踊りで、さらに
       交流を深める。

 8月27日 基本計画提出
       建築の中身もさることながら配置がとても重要であることを先の
       報告会で教わり、樹のまわりに集い住む「風社配置」を提案。
      
       4月に運行開始した12席しかない徳島〜東京「マイフローラ」  
       号。そこで通路、カーテン、前後のパーテーションなどを通じて
       設計したのは、バス車両というよりも、「人と人の距離感」だった
       ことを認識。この社員寮も同じ。
      
       中央に植わるケヤキは、支援者が寄贈する。義捐金よりも目に
       見えて、交流の始まる支援。送った人は、また、野菜送ったり
       お菓子送ったり。入居者は、遠くに自分達を見守ってくれる人を
       いつも感じて生活する。

 9月26日 フクシマトクシマの会@有楽町
       UIA大会で全国の建築家が東京に集結するなか、懇親会開催。
       参加していた美波町の方から、東北の方々に講演依頼。備え意識
       の上がらない町民に、生の声を聞いてもらいたい。快諾。1月の
       シンポジウムへ。

10月26日 地鎮祭

11月18日 復興会議@福島参加
       話題は復興期へ。仮設住宅をいかにその後へつなげるか。木造
       だからできる移築、改造。様々な提案を聞く。
      
12月 1日 基本計画U提出
       復興会議で学んだことを実践。風社を構成していた独立した
       一戸一戸の改築バリエーションを検討。それらを二戸、三戸
       組み合わせた復興住宅を提案。

       会長「ほな仮設と復興と、一緒に建てたらええんちゃうん」
       風社一組+ファミリータイプ(三戸一)に変更決定。

2012年
 1月   二日連続シンポジウム(宮城1名、福島2名の建築家来徳)
       13日 美波町コミュニティホール
       14日 徳島県建設センター 

 2月20日 上棟式 上棟見学会

 4月 5日 完成見学会+説明会
       仮設住宅という名称が仮設住宅のあり方をを制限していないか
       EH-J 内原の風社(Emergency House-JAPAN 地名+建築名)
       緊急住宅に風土性を、誇りを。入りたい気持ちになってもらう。

       各地でいろんなEH−Jを考えておく。施工者、職人さんたち、
       市民、みんなが知っておき、意識しておく→備え意識の維持。
       材料の備え→製材した木材の備蓄が不可欠。県下で一年間に建つ
       木造住宅、木造建築分が備蓄できれば。翌年分を今年伐採して   
       自然乾燥を。育ちすぎた杉林、足元に陽光が入らず生態系は崩れ
       鹿や猪が山を降りる、荒廃した山を、コンスタントな伐採で
       健全な状態へ戻せたら。再植林ができる山の経済の建て直しに
       つながれば。

       小さなプロジェクトが大きなうねりへ・・・



120409.jpg
フクシマの仲間達が見学会に送ってくださった胡蝶蘭。白い花です。
フクシマの花は「ネモトシャクナゲ」トクシマの花は「スダチ」ともに白い花。



posted by ft at 10:28| Comment(4) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
卵か鶏か。
わからないくらいに協働できたら。
と、思います。遠くからですが。

桜が咲き乱れています。
約束したかのように一斉に。
全部ひっくるめて地球なんだと
花の季節、落葉の季節に思いますね。

すみません脳天気なこと言って。
Posted by uch at 2012年04月09日 21:47
内野さん
まずはおめでとうございます。

改めて、今回のプロジェクトの経過を
読ませていただき、
JIA福島の行動が、いい意味で影響したことを
良かったと思っています。

地震や津波なんて来ないに越したことはありませんが、
このような高い意識の人々がいることは
徳島県民にとって大きな安心につながることはもとより、
おそらくこの徳島の活動は
どんどんと広まっていくような気がします。

災害を受けた先人として、
これからもますます応援させていただきます。
(フクシマ 阿部)

Posted by 阿部直人 at 2012年04月10日 12:07
東北にも春到来。しかし、自然との人生の契約が破棄され、3.11以前のトキメキは存在しません。「何に生きがいを」考える日々です。

「防災も復興も所詮は自分の身は自分で守り、新たな一歩も自らの行動。そして、平時も有事も自立する地方自治、自立する街や集落、自立する個人、それでも足りない部分を補い合う社会」これは、2月初旬に仙台市で開催された、日本建築家協会主催の災害復興支援シンポジュームにおいて、パネラーの私が発表した内容です。

今回の3.11東日本大震災に伴う原発事故は、社会システムそのものが起こした文明災禍です。
「全国均衡ある発展」という大変聞こえの良いフレーズで、統治され続け「財政赤字感覚」を奪われた地方自治体が交付金という罠から抜け出せずにうごめいている状況で今回の事がおきました。フクシマ以外の全国の原発立地自治体も少子高齢、雇用問題で、その罠に一度手を出してしまったら後戻りできないのが本音でしょう。原発が唯一の基幹産業で、すべての利害関係は、原発反対や原発内事故を隠蔽してきました。原発企業への就職は地元政治家のコネなしではどんなに優秀でも採用されないことは、周知の事実でした。すべては、国と電力会社一体となっての「平和利用」の名のもとの口封じでありました。地元選出の国会議員もこの利害関係にかなりの恩恵にあずかったことでしょう。
一箇所に集中した原発リスクの根源は「全国均衡ある発展」「全国総もたれあいの自立不能な地方自治」であります。いまこそ統治機構を見直して「自立する地方」「違いのある地方の集合体としての国」への転換をはかるべきです。
「このままでは、日本は3年で破綻する」という有名な企業家の新聞記事のように、これまでの統治機構ですべてにリンゴを分け与えつづけることは適いません。戦後の発展を支えたが、すでに使命を終えた多くの発展途上国型「社会システム」を再設計することが今まさに求められています。それは、フクシマが未来の命のためにまさに50年後の故郷設計を始めるように7000〜8000万人に人口が減少する未来の国の形をデザインしなければなりません。「自分たちの生きている間は大丈夫」と思っている無責任な輩が大勢をしめ無関心さが万栄しています。原発事故も国の借金も将来に対してしっかりとした対応をはたすことが今生きる我々の責務であります。
「残りの人生を未来の命のために」行動をおこします。


Posted by 辺見美津男 at 2012年04月11日 17:49
自立する地方
違いのある地方の集合体としての国

建築の功罪はとても大きいですね。
住まいから公共建築まで。
建築単体だけではなく、建築の間、
それの連なりによる街並みや風景も。

辺見さんの「行動」応援します。
ついに動き出すんですね。
Posted by uch at 2012年04月12日 08:35
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